省略法とは?省かれた言葉の見つけ方と効果

省略法|中学生向け国語解説

省略法は、あえて言葉を途中で止めたり、書かなくても分かる部分を省いたりする表現です。言い切らないからこそ、読者の中に続きが生まれます。

もう一度だけ、あの夏へ——。

「戻りたい」「戻れたなら」と続きそうなところで止まっています。戻りたいという強い願いと、もう戻れないと分かっている苦しさが同時に残ります。

文法と前後の内容から考える

省かれた言葉を探すときは、助詞や接続する言葉に注目します。

もし、君が来てくれたなら……。

「なら」は、条件を示します。ふつうは、その条件のもとで起こることがあとに続きます。「話したい」「出発できる」などが考えられますが、この一文だけでは一つに決められません。

前の文に「一人では船を出せない」とあれば、「君が来てくれたなら、船を出せる」と補うのが自然です。「ずっと謝りたかった」とあれば、「君が来てくれたなら、謝りたい」と読めます。省略された内容は、周りの文によって変わります。

補う言葉が一つとは限らない

省略法では、作者が答えを一つに決めず、読者の想像に任せることがあります。

改札の向こうに君がいた。

ぼくは、ただ——。

「立ち尽くした」「名前を呼んだ」「見つめた」など、いくつかの続きを考えられます。前後に手がかりがなければ、どれか一つを正解として断定するのは危険です。

読解問題では、「省かれた語は必ずこれだ」と決めるより、「驚きのために言葉が続かず、行動を言い表せない様子が伝わる」のように、省略されたこと自体の働きを説明できる場合があります。

日本語の省略が、すべて表現技法になるわけではない

日本語では、前後から分かる主語や目的語をよく省きます。

雨が降ったので、急いで帰った。

「帰った」の主語は書かれていませんが、文脈から「私」だと分かるなら、日常的な省略です。これだけで、文学上の省略法が使われていると強く意識する必要はありません。

会話の「どこへ行くの?」「駅まで。」も、「駅まで行く」という述語を省いた自然な応答です。作品の中で、その短さが人物の冷たい態度や急いでいる様子を表しているなら、表現上の効果を考えます。

記号がなくても省略はある

省略を示すために、三点リーダー「……」やダッシュ「——」が使われることがあります。しかし、記号があれば必ず省略法というわけではありません。長い沈黙や時間の経過を示す場合もあります。

反対に、記号がなくても、「窓の外には雪。机の上には手紙。」のように、述語を省いて物だけを並べる表現があります。文の形と文脈から、何が書かれていないかを考えます。

省略法は、読む速さを上げることも、言葉を止めて長い間を作ることもあります。何が省かれたかだけでなく、言い切らなかったことで、ためらい、驚き、期待のどれが残るかまで見ると、表現の働きが分かります。