詩は、一つの基準だけで種類を分けるわけではありません。「どんな言葉で書かれているか」「どんな形で書かれているか」「何が中心に書かれているか」という三つの見方があります。
そのため、一つの詩に複数の名前が付くことがあります。どれか一つだけが正しいのではなく、別々の面から同じ詩を見ているのです。
詩を分ける三つの見方

| 分け方 | 見るところ | 主な種類 |
|---|---|---|
| 文体 | 言葉・文法 | 口語詩、文語詩 |
| 形式 | 音数・行分け・文章の形 | 定型詩、自由詩、散文詩 |
| 内容 | 何を中心に書いているか | 叙情詩、叙事詩、叙景詩 |
文体では、現代語の言葉や文法をもとにした口語詩と、古典語をもとにした文語詩に分けます。ここでいう「口語」は、くだけた会話だけを指すものではありません。
形式では、一定の型がある定型詩、決まった型にしばられず行を分けて書く自由詩、普通の文章のように段落の中に続けて書く散文詩に分けます。
内容では、気持ちや心の動きが中心の叙情詩、人物や出来事が中心の叙事詩、風景の描写が中心の叙景詩に分けます。
一つの詩に、三つの名前が付くこともある
短い例で見ると、三つの分け方の違いが分かります。
電車が行ったあと ホームに残った風だけが ぼくのシャツを揺らしている
「行った」「残った」「揺らしている」は現代語の文法なので、文体では口語詩です。五・七・五などの決まった音数はなく、行を分けて書かれているため、形式では自由詩です。
電車が去ったあとの寂しさが中心に表されているので、内容では叙情詩と読めます。つまり、この詩は、口語詩でもあり、自由詩でもあり、叙情詩でもあります。
分類名は、詩を一つの箱へ押し込むためのものではありません。「どんな言葉なのか」「どんな形なのか」「何が中心なのか」を別々に見るための手がかりです。名前が分かると、作品のどこに注目すればよいかも見えてきます。

