隠喩法とは?直喩との違いと見分け方を例文で解説

隠喩とは?|中学生向け国語解説

隠喩は、「ようだ」「みたいだ」と言わず、あるものを別のものとして言い切る比喩です。たとえだと説明しないぶん、景色や気持ちが強く重なります。

月は、夜空に開いた窓だ。

月と窓は実際には別のものです。それでも、暗い面の中に明るい部分が開いているという共通点があります。たとえだと示す言葉を使わず、「月は窓だ」と言い切っているので隠喩です。

事実を述べる「AはBだ」と区別する

隠喩は「AはBだ」という形になることが多いものの、同じ形の文がすべて隠喩になるわけではありません。

父は医師だ。

父が実際に医師なら、これは事実を述べた文です。

父は、迷ったときの灯台だ。

人である父と、建造物である灯台は同じものではありません。「進む方向を示してくれる」という共通点があるため、こちらは隠喩です。

文を文字どおりに読んだとき、現実には同じものではないのに、共通する特徴を通すと意味が分かる。そんな関係があるかを見ると分かります。

直喩との違い

同じ内容を二つの表現で比べます。

直喩:彼の言葉は、氷のように冷たい。

隠喩:彼の言葉は、氷だ。

直喩は「ように」によって、言葉と氷を比べています。隠喩は二つを直接重ねるため、短く強い表現になります。

ただし、直喩から「ようだ」を消せば、いつでも自然な隠喩になるわけではありません。

直喩:弟は、子犬のように廊下を走った。

比喩語だけを消した文:弟は、子犬の廊下を走った。

比喩語を消しただけでは、文法が崩れています。隠喩にするなら、「廊下を走る弟は、元気な子犬だ」のように、文全体を組み立て直す必要があります。二つの技法の違いは、単語一つの有無だけではなく、たとえを文の中でどう示すかにあります。

名詞の一部に隠喩が入ることもある

隠喩は「AはBだ」の形だけではありません。

宿題の山を前に、鉛筆が止まった。

宿題が実際の山になったわけではありません。量が多く、積み上がって見えることを「山」で表しています。「宿題の山」という名詞のまとまりの中に隠喩があります。

「話の入り口」「記憶の底」「希望の芽」のように、日常でよく使われる表現にも隠喩は含まれます。使い慣れて比喩らしさを感じにくくなっていても、別のものの特徴を借りている点は同じです。

隠喩を読むときは、共通点を言葉にする

彼の沈黙は、厚い壁だった。

「壁があるから声が届かない」「近づこうとしても隔てられる」という感じが、沈黙に重なっています。ただ静かなだけでなく、相手との距離を強く感じさせる、重い沈黙です。

効果を書くなら、「沈黙を壁にたとえて強調している」だけでは少し足りません。「相手に近づけない隔たりを、行く手をふさぐ壁として感じさせている」のように、何がどう伝わるのかを本文の言葉に結び付けます。