字余りは、短歌や俳句の一つの句が基本の音数より多い形です。字足らずは、少ない形です。名前は「字」でも、数えるのは音です。音が増えたり減ったりすると、読む呼吸も変わります。
定型の例
春の川 五音 石をぬらして 七音 銀の波 五音
字余りの例
春の小川 六音 石をぬらして 七音 銀の波 五音
上五が六音なので、一音の字余りです。中七と下五は基本の音数に収まっています。
字足らずの例

冬空 四音 窓に絵を描く 七音 白い息 五音
上五が四音なので、一音の字足らずです。「冬空」のあとに少し広い間ができ、冷たい空だけが目の前に残ります。短く切れたことで、静けさも強く感じられます。
字余り・字足らずは間違い?
作品の中で意図的に使われているなら、字余りや字足らずは単なる失敗ではありません。音が増えると、言葉があふれる感じや、ゆっくり続く調子が生まれることがあります。音が少ないと、短く切れる感じや、急な印象が生まれることがあります。
ただし、「一音多ければ必ずゆっくりする」という決まりはありません。どの言葉で音が増えたり減ったりしているのか、その言葉が場面にどう関わるのかまで見ると、効果が分かります。
学校で「五・七・五に作る」という条件が示されている場合は、まず定型に収めることが課題です。完成後に、意味や自然な言い方を保つために字余りを使うなら、その理由を説明できるようにします。
何音までなら字余り?
一音多い形はよく見られますが、「二音までなら字余り、三音以上は別の形式」という共通の線引きはありません。ほかの句が定型を保ち、作品全体に五・七・五や五・七・五・七・七の土台が感じられるかを見ると、字余り・字足らずかどうかが分かります。
音数が大きく外れる場合でも、作者が定型を意識して一部を伸ばしたと読めることがあります。数字だけで決めず、声に出したときの調子も聞いてみると分かりやすいです。
自由律との違い
字余り・字足らずは、定型を土台にしながら、一部の音数が増減した形です。自由律は、初めから五・七・五などの定型にしばられず、作品ごとのリズムで作る形式です。
- 五・七・六のように、一部だけ外れる:字余り・字足らずとして考えやすい
- 句ごとの音数がさまざまで、定型を土台にしていない:自由律として考えやすい
字余りが何か所あれば自由律になる、という決まりはありません。定型との関係は、作品全体を見ると分かります。音数を数えたあと、増えた音や減った音がどんな読み方を生むかまで見ると、形式の違いが表現につながります。

