季語は、季節の名前を知らせるだけの言葉ではありません。一語入るだけで、その季節の温度や音、匂い、行事まで連れてきます。
春:桜、春風、入学 夏:蝉、夕立、風鈴 秋:紅葉、名月、鈴虫 冬:雪、木枯らし、こたつ 新年:初日、初夢、書き初め
俳句の季節は、春夏秋冬に新年を加えた五つに分けるのが一般的です。
季節を連想する言葉が、すべて季語とは限らない
日常生活では、「新しい教室」「冷たいジュース」のような言葉から、春や夏を想像することがあります。しかし、読んだ人が季節を連想できることと、俳句で季語として使われてきたことは別です。
季語かどうかを確かめるには、歳時記を使います。歳時記は、季語を季節別・分野別に分け、意味や例句を載せた本です。国語辞典に季節の説明があっても、俳句での季節や使い方までは分からないことがあります。
季語の季節が、今の感覚とずれることがある
朝顔は、夏の花という印象が強いかもしれません。伝統的な歳時記では、朝顔は秋の季語として扱われます。旧暦では七月から秋とされ、その時期が現在の八月ごろに当たるためです。
七夕も、現在は七月の行事ですが、俳句では秋の季語です。こうした言葉は、今の気温やカレンダーだけでは決めにくいので、歳時記を見るのが確実です。
一方、現代の暮らしから生まれた新しい季語もあります。どの語を収めるかは歳時記によって多少違うため、学校の課題では指定された歳時記や教材を基準にします。
一語だけでなく、まとまりで探す
季語は一つの単語とは限りません。
春の雨 夏休み 秋の暮れ 冬の星
複数の語がまとまって、一つの季語として使われます。反対に、「春」という字が入っていても、固有名詞の一部として使われ、季節を表していない場合があります。言葉だけを切り取らず、句の中での意味を見ます。
季語が句に加えるもの
自転車を押して帰った。
これだけでは、季節や周りの空気は分かりません。
木枯らしや自転車を押す帰り道
「木枯らし」が入ると、強く冷たい風、肌に当たる痛さ、向かい風の中を歩く重さまで伝わります。寒さの中を急ぐような動きも感じられます。季語は、季節名を示すためだけの言葉ではありません。
季語の働きは、「冬だと分かる」だけでは終わりません。そこからどんな音や温度、明るさ、行事が浮かぶかまで見ると、句の景色が広がります。作者が季語と別の言葉をどう組み合わせたかを見ると、短い俳句の中にある広がりが分かります。
季語がなければ俳句ではない?
俳句は季語を入れるのが基本ですが、近現代には無季俳句があります。また、季語のない五・七・五を、すべて川柳と決めることもできません。まずは、季語を入れるのが俳句の基本です。季語のない作品では、その作品がどんな俳句として作られているかを、作品全体から見ます。

