短歌は、五・七・五・七・七の五句、合計三十一音を基本とする詩です。短いけれど、場面が動いたり、気持ちが少しずつ変わったりする余地があります。初めの五・七・五を上句、あとの七・七を下句と呼びます。
朝の橋 五音 風に吹かれて 七音 足をとめ 五音 きのうの手紙 七音 そっとひらいた 七音
音数を並べると、五・七・五・七・七になっています。上句では、朝の橋で風を受けて足を止めるまでが示され、下句では手紙を開く行動に移ります。
「五句」と「五行」は同じではない

短歌の五・七・五・七・七は、音のまとまりである五句を表します。印刷するときに五行に分けるとは限りません。一行で書かれた短歌も、二行や三行に分けた短歌もあります。
一行で書けば、次の形です。
朝の橋風に吹かれて足をとめきのうの手紙そっとひらいた
見た目が一行でも、音のまとまりは五・七・五・七・七です。行の数ではなく、声に出したときの区切りを見ると分かります。
上句と下句は、文の切れ目とは限らない
上句は最初の五・七・五、下句は最後の七・七という形式上の呼び名です。意味や文法の切れ目を表す「句切れ」とは別です。
先ほどの歌では、「朝の橋/風に吹かれて/足をとめ」までで、動作がひとまとまりになります。そこから「きのうの手紙/そっとひらいた」に続くため、上句と下句の境には意味の区切りがあります。ただし、どの短歌も第三句のあとで切れるわけではありません。歌の中の切れ目は、述語や助詞のつながりから考えます。
短歌は、三つを見ると読みやすい
- どんな場面か
まず、場所や時間、登場する物を拾います。この例なら、朝の橋に立ち、風を受けている人物が見えます。
- どこで動きや見方が変わるか
上句では橋の上で足を止め、下句では手紙を開きます。歩いていた人物の動きが止まり、視線が手元の紙に移っています。
- 最後の七・七で何が加わるか
「きのうの手紙」とあるため、なぜすぐ開かなかったのかが気になります。足を止めて、そっと開く姿からは、知りたい気持ちと、知るのがこわい気持ちが同時に伝わります。ただし、手紙の内容や人物の気持ちは書かれていません。本文にない事情まで決めつけず、書かれた言葉から読める範囲にとどめるのが自然です。
五・七・五・七・七から外れる短歌もある
短歌には、一部の句が基本の音数より多い字余りや、少ない字足らずがあります。現代短歌には、句の境がはっきりしない作品や、口語のリズムを生かした作品もあります。
基本の型から少し外れているだけで、短歌ではないとはいえません。まずは、三十一音の五句が短歌の土台です。そこから音数が変わっていたら、声に出してみてください。言葉があふれる感じや、急に息が止まる感じまで見えてきます。
短歌と和歌の関係
短歌は、和歌の形式の一つです。古代の和歌には長歌など別の形式もありました。のちに短歌が和歌の中心となったため、和歌と短歌がほぼ同じ意味で使われることもあります。
古典作品では、その時代の仮名遣いや文法も手がかりになります。現代の短歌では、日常の話し言葉、外来語、固有名詞なども使われます。時代によって言葉は変わっても、五・七・五・七・七のリズムが短歌の基本である点は共通しています。

