詩の題材は、大きな事件や特別な感動でなくてかまいません。帰り道で見たもの、教室に残っていた物、言えなかった一言など、少し気になった、少しうれしかった、なぜか引っかかった。そんな小さな心の動きから始められます。
「友情について書く」のように広いテーマを先に決めると、説明が多くなりがちです。「友達が貸してくれた消しゴムを返せなかった放課後」のように、場所と出来事を小さくすると、言葉を選びやすくなります。
1. 見たことをメモする

初めから詩らしく書こうとせず、事実をふつうの文で残します。
放課後、机の奥から先月のプリントが出てきた。二つに折れていて、開くと消しゴムの粉が落ちた。
そこへ、音や手触りなど、五感で気づいたことを足します。
- 紙の端が丸まっている
- 鉛筆の跡が薄い
- 消しゴムの粉が白く落ちる
- 教室には椅子を引く音がない
すべてを使う必要はありません。最も気になる一つか二つを選びます。
2. 説明ではなく、見える言葉を選ぶ
「古いプリントを見つけて懐かしかった」と書けば、気持ちは直接伝わります。詩では、何がそう感じさせたのかを置く方法もあります。
机の奥で 先月が 小さく折れていた 開くと 消しゴムの粉が降った
「先月のプリント」を「先月」と短くすると、紙だけでなく、過ぎた時間そのものが机の中に残っていたように見えます。古い紙を開く動作から、過ぎた時間への懐かしさや名残惜しさも想像できます。
3. 動詞を選び直す
名詞や形容詞を飾るより、動詞を見直すと場面が動きます。
粉が落ちた 粉がこぼれた 粉が降った
「落ちた」は事実に近く、「こぼれた」には中からあふれた感じがあります。「降った」とすれば、細かな粉が雪のように見えます。どれが正解というわけではありません。自分が見た様子や、残したい気持ちにいちばん近い言葉を選んでみてください。
4. 行を分けて、読む速さを比べる
行を分ける場所は、息継ぎの場所と同じとは限りません。どこで行を分けるかによって、目立つ言葉や、次の内容が出てくるまでの間が変わります。
先月が小さく折れていた
と一行で書くより、「先月が/小さく折れていた」と分けると、「先月が」のあとに短い間が生まれます。ただし、短く切れば必ず詩らしくなるわけではありません。声に出して、意味が不自然に切れていないかを聞いてみます。
5. 説明しすぎた部分を削る
最後に、「うれしかった」「悲しかった」「とてもきれいだった」など、前の言葉から分かる説明を一度外してみます。外すと意味が分からなくなるなら戻します。想像できる余地は残しつつ、必要な情報まで消していないかも読み返します。
比喩や擬人法を一つ入れれば、詩になるわけではありません。事実に合わない比喩を足すと、かえって場面が見えにくくなります。技法は、表したいものに必要なときだけ使います。
書けたら、少し時間を置いて声に出してみてください。意味が通らない助詞、同じ言葉の重なり、説明と例のずれを直します。詩らしい難しい言葉を探すより、自分が見た一場面に、いちばん合う言葉を選ぶ方が伝わります。

