情景と心情の読み取り方|詩の言葉から気持ちを考える

情景と心情|中学生向け国語解説

情景は、目に見えるものだけではありません。音や匂い、温度、動きまで含めた場面の空気です。心情は、その空気の中で人物や語り手が感じていることです。

詩では、「悲しい」「うれしい」と直接言わず、景色に気持ちを預けることがあります。景色から自由に気持ちを想像するのではなく、言葉を一段ずつたどります。

夕立のあと
濡れたベンチに
二人分の乾いた跡
その片方に
ぼくは座る

まず、見えている場面だけ拾う

情景と心情の図解
  • 夕立がやんだあとである
  • ベンチは雨に濡れている
  • 人が座っていたらしい乾いた跡が二人分ある
  • 「ぼく」は、その片方に座る

ここまでは、本文に書かれたことから確かめられます。二人がだれなのか、なぜ立ち去ったのかは分かりません。

言葉が持つ感じを考える

「夕立のあと」には、激しい雨が過ぎ、急に静かになった空気があります。「二人分」に対して、座るのは「ぼく」一人です。この数の違いから、今ここにいないもう一人を意識しているように読めます。

「その片方に」とあるので、「ぼく」は、だれかの気配が残る場所を選んでいます。服をぬらさないために乾いた場所を選んだとも考えられますが、そこに座っていた人を意識している、と読むこともできます。

事実と解釈をつなぐ

心情を書くなら、「本文の事実→そこから受ける感じ→考えられる心情」の順につなぐと、根拠が伝わりやすくなります。

本文の事実:二人分の跡があるのに、座るのは「ぼく」一人
言葉から受ける感じ:もう一人の不在が目立つ
考えられる心情:去った相手を思う寂しさや、相手の気配に触れたい気持ち

「語り手は寂しい」だけでは、少しぼんやりします。「『二人分』と『ぼく』一人を対照させ、今ここにいない相手を思う寂しさを感じさせる」と書くと、もう一人の不在を強く意識していることまで伝わります。

色や天気の決めつけに注意する

雨が出たら悲しい、明るい色ならうれしい、と決まっているわけではありません。雨を喜ぶ詩もあれば、晴れた空をつらく感じる詩もあります。

同じ「赤」でも、夕日の温かさ、火の危険、怒り、お祝いなど、文脈によって印象は変わります。一つの言葉に決まった心情を当てはめず、動詞や周りの言葉と合わせて読みます。

別の読み方も本文から考える

先ほどの詩は、寂しさだけでなく、「乾いた跡に残る人の気配を確かめようとしている」とも読めます。「その片方に」座るという自分から動く行為に注目すれば、不在をただ眺めるだけではない姿も見えてきます。

読み方がいくつか浮かんだら、それぞれを支える言葉も一緒に探すと、違いが見えてきます。どちらの読みも本文につながっていれば、無理に一つへ決める必要はありません。本文に反する事情を付け足さず、説明できる範囲を守ります。

ここで考えるのは、作品の中の人物や語り手の心情です。情景の描き方を根拠に、その人物が場面をどう受け止めているかを読み取ります。