口語詩と文語詩の違いが分からない方へ【文末で見分ける方法】

詩は「口語詩と文語詩」に分類できます。口語詩と文語詩を見分けるポイントは、詩の用語です。

現代語(口語)で書かれた詩が「口語詩」、古い言葉(文語)で書かれた詩が「文語詩」です。

ここからは「口語詩と文語詩の違い」について、さらに詳しく説明していきます。読み終えた時、次のようになっていただけるかと思います。

  1. 口語詩とは何か知っている
  2. 文語詩とは何か知っている
  3. 口語詩と文語詩を見分けられる

それでは始めていきましょう。

「口語詩」と「文語詩」について

「口語詩」と「文語詩」のポイントは、次の通りです。

  1. 口語詩は現代語(話し言葉)で書かれた詩
  2. 文語詩は昔の書き言葉で書かれた詩
  3. 詩の文末に着目すると見分けられる
  4. ほとんどの現代詩は口語詩である

口語とは?

まず、口語詩は「口語で書かれた詩」で、文語詩は「文語で書かれた詩」・・・、ということは説明不要ですね。

この上で、口語と文語について説明していきます。

口語とは

  • 現代に使われている言葉
  • 現代語(話し言葉)
  • 現代仮名遣いを用いる言葉

口語のポイントは【現代】や【話し言葉】です。わたしたちが普段使っている言葉こそ、「口語」といえます。

また【話し言葉】が口語です。現代は文章を書く時も【話し言葉】を使っています。

なので、現代で使われている言葉の全てが「口語」と考えてよいでしょう。

文語とは?

文語とは

  • 昔に使われていた古い言葉
  • 江戸時代までの書き言葉
  • 古語
  • 歴史的仮名遣いを用いる言葉

文語のポイントは【】や【書き言葉】です。江戸時代まで使われていた言葉が文語です。

現代では、もはや使われていない言葉。それが文語なんです。

なぜ文語を使っていないか?

「なぜ、わたしたちは文語を使っていないか?」の理由は、文語は【書き言葉】だから。ここがポイントです。

もっと詳しく言うなら、現代は【話し言葉】で文章を書いており、【書き言葉】の出番がないから。

江戸時代までは【書き言葉】と【話し言葉】がありました。両者は分けて使われていました。

現代風に考えると、LINEでは「○○なり」とか「○○たり」と書くけれども、会話では「○○だね」とか「○○ですね」と話すようなものです。

でも、小説や詩にとって文語は制約でしかなかった。

たとえば、LINEで「○○だね」とか「○○ですね」って書きたい!その方が自然だし、言いたいことが伝わりそうな気がする。

口語で文章を書きたい!

ってなっていきました。

そうして、明治時代に文学者が運動をおこします。

「口語で自由に文章を書く!詩を書く!小説を書く!」っていうのが、当たり前になりました。これを言文一致運動と言います。

こうして、口語詩が生まれました。

「口語詩」・「文語詩」とは?

ここまでの内容をまとめます。口語詩・文語詩とは次のようなものです。

ここまでのポイント

  • 口語詩・・・現代語(話し言葉)で書かれた詩
  • 文語詩・・・昔の書き言葉で書かれた詩

「口語詩」と「文語詩」の見分け方

つづいて口語詩と文語詩を見分ける方法をご紹介しましょう。

ほとんど口語詩

まず伝えておきたい。「ほとんどの現代詩は口語詩だ!」ってことを。

じつは日本の詩の歴史は浅いです。

始まりを1882年の「新体詩抄」だとすると、200年もありません。江戸時代まで「詩」とは漢詩のことでした。

そして、口語詩(口語自由詩)が一般化するのは1910年代。なので、文語詩は30年ほどしか書かれていません。

文語詩30年、口語詩110年。単純に、乱暴に、考えれば、圧倒的に口語詩の作品の方が多いはずです。

ゆえに「この作品は口語詩?または文語詩?」と聞かれたら、即答しましょう。「口語詩で決まり!」と。

歴史的仮名遣いに惑わされるな

とはいえ、口語詩と文語詩を見分けるのは難しい。理由は【歴史的仮名遣い】です。

「【歴史的仮名遣い】なのに、【話し言葉】で書かれている詩」という口語詩があります。これを見分けるのが難しい。たとえば、次の例。

  1. てふてふが舞ってます
  2. てふてふ舞ひたり

「てふてふ」は【歴史的仮名遣い】だが、「1」の「○○ます」は【話し言葉】なので口語。

「2」の「○○たり」は【書き言葉】なので文語となります。いやー、ややこしい。。

文末に注目しよう

そこで「口語詩」と「文語詩」を見分けるには【文末】に注目してみましょう。

文末に【馴染みのある言葉】があれば、口語詩の可能性が高いです。たとえば、次のような言葉です。

  • ○○だ:形容動詞
  • ○○い:形容詞
  • ○○です
  • ○○ます
  • ○○である

例文を見てみましょう。

  • 吾輩は猫である
  • 筋トレが最強のソリューションである
  • パスタが美味かった。また食べたい

一方で、文末に【馴染みのない言葉】があれば文語詩です。

  • ○○なり:形容動詞
  • ○○たり:形容動詞
  • ○○し:形容詞
  • ○○けり

例文を見てみましょう。

  • パスタ美味く。食べたく
  • 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり
  • やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる

この方法で、口語詩と文語詩を簡単に見分けられます。

「口語詩と文語詩」の具体例

最後に、宮沢賢治の詩を見てみましょう。

宮沢賢治はいっぱい詩を書いています。文語詩から口語詩へとトレンドが変わっていく時代を生きた人なので、口語詩と文語詩の両方を書いています。

それぞれご紹介しましょう。

宮沢賢治の口語詩

まずは口語詩だ。文末に注目。

ひかりの澱

三角ばたけのうしろ

かれ草層の上で

わたくしの見ましたのは

顔いつぱいに赤い点うち

硝子様(やう)鋼青のことばをつかつて

しきりに歪み合ひながら

何か相談をやつてゐた

三人の妖女たちです

「見ました」「ゐた」「です」など、話し言葉が出てきます。

宮沢賢治の文語詩

つぎに文語詩です。こちらも文末に注目。

打身の床をいできたり、

箱の火鉢にうちゐれば、

人なき店のひるすぎを、

雪げの川の音すなり

粉のたばこをひねりつゝ、

見あぐるそらの雨もよひ、

蠣売町のかなたにて、

人らほのかに祝ふらし

「なり」「し」など、書き言葉が出てきます。

まとめ

「口語詩」と「文語詩」について説明してきました。ご納得いただけましたか?

最後にポイントを復習して終わりましょう。

  1. 口語詩は現代語(話し言葉)で書かれた詩
  2. 文語詩は昔の書き言葉で書かれた詩
  3. 詩の文末に着目すると見分けられる
  4. ほとんどの現代詩は口語詩で決まり

最後までお読みいただき、ありがとうございました。