同じこともありますが、同じとは限りません。
主人公は、その物語の中心になる人物です。
語り手は、その物語を読者に語っている立場です。
「私は駅へ向かった」と書かれていて、その「私」が物語の中心人物なら、主人公と語り手は同じです。
でも、「私は兄の不思議な体験を今でも覚えている」のように、語っている「私」より兄の方が物語の中心なら、主人公は兄、語り手は「私」ということもあります。
「一人称だから『私』が絶対主人公」と決めず、誰の出来事が中心になっているかを見ます。
一人称と三人称って何が違うの?
一人称は、「私」「僕」など、物語の中にいる人物の視点で語る書き方です。
読者はその人物が見たもの、考えたことを中心に知ります。その人が知らないことは、基本的に読者にも分かりません。
三人称は、「彼」「彼女」「太郎」など、人物を外から呼ぶ形で語ります。
ただし三人称でも、ある一人の人物の気持ちだけを詳しく追う作品もあれば、複数の人物の内面を語る作品もあります。
大事なのは、「一人称か三人称か」を答えて終わることではありません。
誰の目を通して場面を見ているのかが分かると、「なぜこの人物の気持ちは書いてあるのに、相手の気持ちは書いていないのか」も分かりやすくなります。
「私」が主人公とは限らない
一人称の「私」が語っていても、物語の中心が別の人物なら、主人公と語り手は分かれます。「誰が語っているか」と「誰の物語か」を別々に考えます。

